福岡県看護協会ブログ

ノロウイルスに負けないために

投稿日:2015年11月13日

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ノロウイルスの特徴

ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生しますが、特に冬季に流行します。ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、腸管内で増殖します。潜伏期間は24~48時間で、主症状は下痢、嘔吐、吐き気、腹痛ですが、発熱、頭痛、筋肉痛を伴うこともあります。稀ですが、1日20回に及ぶ激しい下痢を起こすこともあり、入院、点滴などの処置が必要になる場合もあります。

また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。小児や高齢者、体力の弱っている人などでは重症化したり、吐物を誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。
ノロウイルスのワクチンはまだ臨床試験段階です。治療は対症療法に限られます。

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今年流行する可能性があるノロウイルスの株は変異型?

ノロウイルスには5つの遺伝子群(GⅠ~GⅤ)があり、ヒトに感染するのはGⅠ、GⅡ、GⅣです。さらに、GⅠは9種類、GⅡは22種類の遺伝子型に分類され、それぞれの遺伝子型では抗原性も互いに異なります。また遺伝子の組換えが頻繁に起き、変異型がしばしば検出されます。

2014年12月まではGⅡ.4が主流でしたが、2015年1月からはGⅡ.17が多く検出されていました。2015年9月には変異株であるGⅡ.P17-GⅡ.17が神奈川県で報告され、この遺伝子型を調べたところ、2015年1月以降の広域で流行したものと同型であることが分かりました。この遺伝子型のノロウイルスに対して免疫を持たない人が多いと考えられているため、今冬に大流行する可能性が出ています。流行状況に充分注意してください。

なお、GⅡ.17は簡易検査キットでは十分なウイルス量であっても陰性となる場合があり、その使用には注意が必要であると考えられています。流行期に胃腸炎症状がある場合は陰性でも疑って対応することが適切であると考えます。

患者の吐物・便を処理する際に注意すること

カーペットに付着した吐物の不十分な処理によって感染が起きた事例が報告されています。時間が経っても、患者の吐物、便やそれらにより汚染された床や手袋などには、感染力のあるウイルスが残っている可能性があります。このため、感染源となるものは必ず適切な処理をしましょう。

床等に飛び散った患者の吐物や便を処理するときには、使い捨てのエプロン(ガウン)、マスク、手袋を着用し、吐物、便をペーパータオル等で外側から中心部に向かって静かに拭き取ります。吐物は広範囲に飛散していることが考えられますので、拭き取る範囲は出来るだけ広範囲を拭くようにしましょう。拭き取った後は、200ppmの次亜塩素酸ナトリウム液(※表参照)で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをしましょう。拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄します(その際、できればビニール袋の中に1000ppmの次亜塩素酸ナトリウム液に浸します)。密封するときは玉結びにし、中身が外に飛散しない工夫をしましょう。

また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂います。吐物や便は乾燥しないうちに速やかに処理しましょう。空気の流れに注意しながら十分に喚気を行うことも感染防止には重要です。

毎年11月~3月の間は流行する時期ですので、自施設の物品状況に応じた吐物処理物品をひとまとめにして準備しておくと、いざというときに速やかに行動できます。現在は吐物処理キットが各業者から販売されていますので、そちらを準備しておくことも物品の準備不足を防ぐためにも良いと思われます。

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※参考⇒ノロウイルスに関するQ&A(厚生労働省)

◆福岡県看護協会 感染管理委員長 山下 智雅
(飯塚病院 医療安全推進室 感染管理認定看護師)