2019/10/18委員会活動

学ぼう!保健師のための“健康格差対策の考え方”

 
地域包括ケアシステムの構築と推進にあたっては、保健師として、「地域診断と組織連携のファシリテーション力」が欠かせません。
そこで、昨年度の研修会で大変反響の大きかった、東京大学大学院医学系研究科 准教授 近藤 尚己先生を再びお招きし、9月28日(土)に研修会を開催しました。

テーマは、『健康格差~地域づくりの実際』。
昨年度のご講義「健康に関心を持てない人を“動かす”戦略とは?」を、より深める形で「地域診断と部署間連携の進め方」についてご教授いただきました。

講義は、(1)健康格差対策の考え方 (2)地域診断と連携:行動を考える環境デザイン (3)ワークの3段階 で進められました。

まずは、健康日本21の設立趣意書に基づいた健康づくりとは?からスタート。
先生の話術に、参加者一同ぐいぐい引き込まれます。
健康は、個人の生活習慣だけでなく、多重レベルの要因で決定されるため、社会環境を改善することが重要であると学びます。

さて、どこからどうやって取りかかるのか?

重要なのが「地区診断」と「連携」であるとして、優先すべき地域や集団を選ぶ具体的なデータの活用、優先課題抽出のための連携会議の進め方、実際に取り組んだ地区の変化も示してくださいました。

健康格差対策としての「住んでいるだけで健康になれるまち」づくりに向けて、支援者は『仕掛け人』『つなげ役』となることが必要であり、また「健康」を全面に押し出せばシラケてしまうことも(健康無関心層には特に)あるからこそ「連携」が必要ということを学びました。

 

参加者からは、「人は“○○すべき”と言われても心も体も動かないし、続かない。
『住民のニーズ調査』という言葉はよく使っても、『住民のウォンツ調査』とは使わない。
保健師として、この『Want』をあらゆる場面で心にとどめて活動していきたい」との声が上がりました。

ワークでは、自分が介護保険課の保健師になって、プロジェクトを動かすために、近藤先生が代表を務める研究の一部として作成された「アクションチェックリスト」を用いて、誰とどうやって連携するか考えました。

 

部署間連携を進めるために作られたチェックリストに基づいて、自分だったらどう動くか、皆さん頭を悩ませながら意見を出し合い、各グループで発表しました。

グループワークを通して、新たな視点を見つけることができたという方や、保健師としての先輩方と直接お話をすることでより学びが深まったという声が聞かれました。

研修に参加した保健師の皆さんのなかに、健康格差のないまちの創り方へ向けた他部署との連携意識が根付き、育まれていくことを願っています。

(保健師職能委員会)


 
一覧へ戻る